2005年11月08日

暗殺の森

 ムッソリーニのファシスト政権が崩壊する前のイタリア。青年マルチェロは古くからの友人、イタロの紹介でファシスト党への入党を果たす。そしてかつての恩師でフランスへと亡命したクアドリ教授の身辺調査を自ら申し出るのだが…

 そのままポストカードにしてしまいたい、映像の斬新さ、カッコよさ。それにまず目がいった。

 どの場面も整っている。真っ白な精神病院の部屋、マルチェロをつける車を切り取った画像、文字が一面に書かれた壁…。曖昧でなく、どの場面もきちんとした形になっていることが、なんともいえない閉塞感、緊張感――この映画のベースになっている「ファシスト」を表しているような気がする。

 父親の精神病、堕落して愛人の言うがままになっている母親、幼い頃にいじめられ、ホモの青年に犯されそうになった暗い記憶まであるマルチェロ。その内面の暗さと孤独。「自分は他の人とは違う」そして「皆と同じようになりたい」と願う強い気持ちが見ている者にも実感できる。その感情は十分理解できるし、ファシストという時代背景に重なったとき、彼が皆と同じように、いや、それ以上に傾倒していく様は納得できる。

 だが、周囲に溶け込もうとすればするほど、彼はやっぱり孤独になっていく。「自分」をもてない者の底なしの恐怖と不安を感じるラストは、打開できない孤独が延々と続いていくことを予感させる。かなり秀逸な人物描写に痺れた。
<2002.2.2>

■データ
出演:ジャン・ルイ・トランティニャンステファニア・サンドレッリドミニク・サンダ、エンツォ・タラーショ
監督:ベルナルド・ベルトルッチ、制作年:1970、ドイツ=フランス=イタリア合作

B00005H3G9暗殺の森 完全版【ワイド版】
ジャン・ルイ・トランティニャン ベルナルド・ベルトルッチ
アミューズソフトエンタテインメント 1997-12-26

by G-Tools

posted by 3 at 15:57| Comment(41) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月06日

あの子を探して(一個都不能少)

あの子を探して

 中国山村の小学校に代用教員としてやってきた魏先生はまだ13歳。1カ月後までに生徒が1人も学校をやめなければ50元貰えると言われて、生徒を減らさないために奮闘するが、ワンパクなホエクーが町に出稼ぎに出て行ってしまう…。

 子供たちの屈託のない表情を見ていると自分が内モンゴルに行ったときのことを思い出した。
 それまで飛行機に乗った話を得意げにしていた少年が、友人がカメラを向けた瞬間、じぃっとカメラを直視し、黙り込んだ。できあがった少年の写真の表情と この映画の子供たちの表情が重なった。

 それと対照的な魏(ウェイ)先生の表情。始終ふくれっつらで、つっけんどんな話し方。自分の周囲に壁を張り巡らし、自衛するような言動は、子供たちの表情と対照的でチグハグしている。子供の前では力で押そうとしても空回りしてしまうだけ。

 子供たちの無邪気な表情をよくこれだけ撮影できたなと感心する。特に都会からカメラマンがやってくるシーン。テレビカメラを覗き込んで頭をコツンと叩かれている子供がいた。

 「きっとあの子は本当にカメラが珍しかったんだな」と思ったが、よく考えてみると撮影中はずっとカメラが回っていたはず。今更テレビカメラがそれほど珍しかったとも思えない。普段以上に自然な表情を引き出すっていうのはスゴイ。

 ラストの色とりどりのチョーク。それで書かれた文字は何ともいえない幻想的な気分にさせてくれる。

 原題は「一個都不能少」。この題は、一言で作品すべてを表す題のお手本のような題だ。
 出てくる言葉が分かりやすく、またもや私は言葉だけでも楽しんでしまった。
 <2000.12.31>

■データ

主演:ウェイ・ミンジ、チャン・ホエクー、チャン・ジェンダ
監督:チャン・イーモウ、制作年:1999、中国・アメリカ合作

関連する作品たち。
「あの子を探して」ができるまで
ノベライズ「あの子を探して」もあります。

楽天レンタルで「あの子を探して」を借りよう

posted by 3 at 01:44| Comment(1) | TrackBack(7) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月03日

僕たちのアナ・バナナ(Keeping Faith)

僕たちのアナ・バナナ



 牧師のブライアンと、ラビのジャックは、幼いころからの親友。小学生の時に転校していった親友のアナが仕事でNYにやってくると知って、2人は早速彼女を迎えに空港へと向かう。16年ぶりに現れた彼女は、美しく魅力あふれるキャリアウーマンになっていた・・・

 エドワード・ノートンもベン・スティラーも大好きな俳優だ。「才能」というものをこれほど感じる人はそんなにいないんじゃないだろうか。ベンのコメディチックな演技や監督としての才能は誰もが知っているけれど、今回はエドワード・ノートンがその才能をいかんなく発揮している。

 あの猟奇的だったり、どこか怖かったり、クセがありまくりだったりするいつものノートン氏では全くないところに、また俳優魂を見せ付けられてしまう。

 アナを演じるダナ・エルフマンの起用がはまって、イキイキと魅力あふれるアナ像がすんなりと入り込んでくる。特に子供時代のアナ。よくぞ見つけてきたといわんばかり、ソックリ。顔だけでなく、表情や雰囲気までも。
 (ちなみに、アナはNHKで放送されていた「ダーマ&グレッグ」のダーマです)

 その魅力あふれるアナの、心が傾いていくシーンが少し納得いかなかったけれど、それもこれも、ちょっとなさけなげな、ブライアンに肩入れして見ていたからなのかも。

 出演者の魅力が引き出され、その上、プラスの印象を与える。俳優を輝かせているのは監督の手腕?

 宗教の問題は日本人には馴染みがないが、私にとっては新たな世界の発見でなかなか面白かった。さらりと表面だけをなぞったストーリーのようで、見終わってみるとジ〜ンとしてしまっている、そんな魅力がある。
<2001.2.16>

出演:エドワード・ノートンベン・スティラー、ジェナ・エルフマン、ロン・リフキン、アン・バンクロフト、ミア・フォアマン
監督:エドワード・ノートン、制作年:2000、アメリカ

僕たちのアナ・バナナサウンドトラックを聴く。

完全字幕本も出ています。

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僕たちのアナ・バナナ@映画生活
posted by 3 at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月02日

アメリ

<アメリ


 医者の父に心臓に持病があると診断され、学校に行かず、神経質な教師の母に教育をうけたアメリ。すぐに空想の世界へと発想が飛んでしまう彼女は、ある日、あるきっかけで一人の中年男性に幸せをもたらすことに…。

 出てきた瞬間に(知ってたはずなのに)「うわ〜、マチュー・カソビッツだぁ〜」と心の中で何度も繰り返して一人で盛り上がってしまった。証明写真撮影機のそばに這いつくばっている、ナイスな登場ですっかり嬉しくなってしまった。

 ニノを演じているマチュー・カソビッツの“ピュア”な笑顔、表情がなければ、アメリの信ぴょう性はなかっただろう。アメリがニノに感じる“自分と同じ匂い”もナイし、ニノはアメリの作戦にもノってこないだろう。好きだからというのもあるけど、ニノはステキな雰囲気をもっていた。

 さて、アメリには、不思議な余韻と共に、なんだかハッピーな気分にさせられてしまった。アメリの空想は、かわいくって、おかしい。そして、時々、悔しい思いをした時や、相手を懲らしめたい時、正義の味方のように“毒”を発揮してくれる。空想の世界にいながら、アメリは現実の世界にもちゃーんと生きていて、みんなの心の中を代弁してくれているようだ。

 空想シーンのお気に入りは、「ドゥ・ムーラン」でため息と共にアメリが水のように崩れ落ちてしまうシーン。それと、このご時世いいのか?っていう、「ニノがドゥ・ムーランに来れない理由」の空想。あそこで、衝突実験の映像を使うセンスにも、わくわくさせられた。

 そして何より好きだったのがアメリの住んでいる部屋のインテリア。でも、この映画ってどこまでが空想? もし、あの部屋も「ドゥ・ムーラン」も、全部アメリの空想だったら…この物語はミステリーだ。
<2002.1.1>

出演:オドレイ・トトゥマチュー・カソビッツ、ヨランド・モロー、ドミ二ク・ピノン、イザベル・ナンティ、ジャメル・ドゥブーズ、アンドレ・デュソリエ
監督:ジャン・ピエール・ジュネ、制作年:2001、制作国:フランス

公式サイト http://www.amelie-movie.com/
「アメリ」サウンドトラックを聴く。

アメリ―モンマルトルのアメリとパリの映画たち  アメリのa.b.c―Spring特別編集 アメリのしあわせアルバム


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もっといろんなレビューを読むなら…ここ
posted by 3 at 21:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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