そのままポストカードにしてしまいたい、映像の斬新さ、カッコよさ。それにまず目がいった。
どの場面も整っている。真っ白な精神病院の部屋、マルチェロをつける車を切り取った画像、文字が一面に書かれた壁…。曖昧でなく、どの場面もきちんとした形になっていることが、なんともいえない閉塞感、緊張感――この映画のベースになっている「ファシスト」を表しているような気がする。
父親の精神病、堕落して愛人の言うがままになっている母親、幼い頃にいじめられ、ホモの青年に犯されそうになった暗い記憶まであるマルチェロ。その内面の暗さと孤独。「自分は他の人とは違う」そして「皆と同じようになりたい」と願う強い気持ちが見ている者にも実感できる。その感情は十分理解できるし、ファシストという時代背景に重なったとき、彼が皆と同じように、いや、それ以上に傾倒していく様は納得できる。
だが、周囲に溶け込もうとすればするほど、彼はやっぱり孤独になっていく。「自分」をもてない者の底なしの恐怖と不安を感じるラストは、打開できない孤独が延々と続いていくことを予感させる。かなり秀逸な人物描写に痺れた。
<2002.2.2>
■データ
出演:ジャン・ルイ・トランティニャン
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
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